現代の日本でも、ペットの虐待に対する罰則が強化され、動物の権利を守る動きが加速している。しかし、ここで一つの矛盾が生じる。犬や猫は手厚く保護される一方で、家畜や害獣は日常的に殺処分されている。この「命のグラデーション」をどう扱うかという問題は、まさに綱吉が直面した壁そのものだった。
綱吉の時代も、最初は犬の登録から始まり、やがて鳥、魚、貝、そして虫にまで保護対象が広がっていった。線引きを曖昧にすればするほど、法の適用範囲は無限に膨張し、人々の生活を締め付けていく。現代の愛護活動家たちが主張する「すべての命の平等」を愚直に法制化しようとした結果が、あの息苦しい江戸社会だったのだ。歴史は、私たちが今まさに直面している倫理的課題の先にある未来を、すでに提示している。