映画の中で糸守町を壊滅させた隕石は、1200年周期で地球に接近する架空の彗星「ティアマト彗星」の核が分裂したものだった。この設定は、単なるフィクションではない。
天文学の歴史において、彗星の分裂や軌道変化は珍しい現象ではないのだ。例えば、1994年に木星に衝突したシューメーカー・レヴィ第9彗星は、木星の強い重力によって20個以上の破片に分裂し、次々と激突した。もしこれが地球で起きていたら――。映画が描いたあの美しい分裂シーンは、宇宙規模で見れば「いつ起きてもおかしくない」物理現象そのものだったのである。