日本女子バレーの重責を背負い続けた古賀紗理那にとって、パリオリンピック2026は集大成であり、完全燃焼の舞台だった。主将としてチームを鼓舞し、最後の一点まで泥臭くボールを追った姿は記憶に新しい。名門NECレッドロケッツ川崎で数々のタイトルを獲得し、皇后杯やVリーグ制覇へと導いた大エースは、大会終了とともにコートへ別れを告げた。燃え尽きるまで戦い抜いた末の決断に、一切の迷いはなかったという。
スパイクを打たない朝を迎えること。それは10代から日本代表の重圧と戦い続けてきた彼女にとって、まったく未知の体験だった。現役時代は遠征と合宿に追われ、すれ違いばかりだったふたりの生活は、ようやくひとつの拠点で静かに重なり合い始めている。家庭で見せる屈託のない笑顔や、夫の体調を誰よりも気遣う手料理の数々。勝負の世界から一歩引いた場所に広がる穏やかな時間は、彼女に確かな充実感をもたらしている。