本作が数あるホラー作品の中でも別格の恐怖とされる最大の要因は、計算し尽くされたラストの見開き演出にあります。
おばあちゃんに言われた通り、少年はしばらくの間、天井を見ないように努めます。縁側でくつろぎ、畳の上で過ごす平穏な時間が流れます。しかし、何気ない日常のふとした拍子に、少年はどうしても我慢できなくなり、部屋の真ん中で思い切って天井の暗がりを真っ直ぐに見上げてしまうのです。
ページをめくった瞬間、視界に飛び込んでくるのは、梁の隙間からこちらを逆さまに見下ろす「生々しく巨大な男の顔」。青白い肌、血走った見開かれた眼球、そして少年と読者を射抜くような底知れぬ視線。そこに添えられたテキストは、たった一言だけ。
「いた。」
説明も救いもなく、ただ怪異と目が合って物語は唐突に断絶します。読者はページをめくった瞬間に少年と全く同じ視界を共有させられ、逃げ場のないショックを受ける構造になっています。