この犬種の根底にあるのは、何千年もかけて磨かれた強靭な防衛能力だ。古代東洋の記述によれば、征服者チンギス・カンは軍隊の先頭にこの巨犬を配し、敵を威圧したと伝えられている。また、13世紀にアジアを旅した旅行家マルコ・ポーロは、東方見聞録の中で「ロバのように大きく、ライオンのように獰猛な犬」として記録に残した。
チベット高原の厳しい気候と狼などの害獣から、遊牧民のテントや家畜を守る使命を帯びたチベタン・マスティフ。標高4000メートルを超える高地の過酷な環境を生き抜いてきた心身の頑丈さは、現代の一般的な家庭犬とは一線を画している。