2010年3月、宇都宮地方裁判所で行われた再審公判において、菅家氏に対してついに無罪判決が言い渡された。裁判長が「菅家さんの真実の声に耳を傾けることができず、服役を強いた」と深々と頭を下げて謝罪した光景は、日本の裁判史における極めて異例な瞬間として人々の記憶に刻まれている。
だが、この無罪判決を司法の自浄作用と呼ぶにはあまりに遅すぎた。日本弁護士連合会は、足利事件を契機として、日本の刑事司法制度における再審開始要件の厳格さや、検察側の証拠開示義務の不透明さを繰り返し批判してきた。
証拠の全件開示が義務付けられていない現状では、捜査機関にとって都合の悪い証拠が意図的に隠蔽されるリスクが排除できない。菅家氏が無罪を勝ち取れたのは、奇跡的な偶然と一部の報道陣、弁護団の尋常ならざる執念があったからに過ぎない。制度としての救済メカニズムは、今なお未完成のままだ。