これほど重要な血統の秘密が、なぜワノ国編の本編ではなく単行本のSBSで語られたのか。そこには尾田栄一郎氏の一貫したキャラクター描写の美学が存在します。
作中においてゾロは、自らの出自や血筋に一切の興味を示していません。霜月牛マルとの血縁を知ることもなければ、リューマの子孫であるという看板を背負うこともありませんでした。ゾロにとって重要なのは「誰の血を引いているか」ではなく、「くいなとの約束を果たし、世界一の大剣豪になること」ただ一つです。あえて作中で大々的にドラマ化せず、読者向けの裏設定として明かされた演出こそが、ロロノア・ゾロという男の生き様を最も純粋に際立たせています。