「吉備路はフラットで記録が狙いやすい」という評判が定着しているものの、実際の走行ログやコース断面図を精密に検証すると、初中級者が油断しやすいポイントが浮かび上がってきます。大会の主会場である総社市スポーツセンターを発着点とするルートは、総じて高低差が約20〜30メートル程度と非常に穏やかなプロファイルを描いています。しかし、完全な陸上トラックのような平坦路が続くわけではありません。
特に意識すべきは、コース中盤から後半にかけて現れる高梁川沿いの土手道や跨線橋の微細なアンジュレーションです。高低図上ではわずか数メートルの傾斜であっても、30km以降の疲労が蓄積した脚部には確実な負荷として作用します。また、遮蔽物の少ない田園地帯や河川敷特有の「季節風」もレース展開を大きく左右します。早春の岡山は冷え込みとともに北西の風が吹き抜けやすく、向かい風を受ける区間では集団走を活用して体力の消耗を防ぐ戦略が求められます。
各種目に設定された制限時間と関門の存在も重要です。フルマラソンの制限時間は6時間と市民ランナーに寛容な設定ですが、要所に設けられた収容関門を一定のイーブンペースで通過しなければなりません。前半の五重塔周辺での景観に見とれてオーバーペースになったり、写真撮影で脚を止めすぎたりすると、後半の関門閉鎖時刻に追われるリスクが生じます。1キロあたり7分〜7分30秒のペースを安定して維持できるビルドアップ練習が完走への確固たる土台となります。