かつて「座右の銘」といえば、床の間に掛け軸を飾るような格式ばった印象があった。しかし現在、若い世代を中心に「自分のコア(核)を一文字で表現する」新しいセルフブランディングの形が定着している。名刺の裏面に一文字だけを刻むフリーランスや、デジタルポートフォリオのトップにシンボルとして掲げるクリエイターも少なくない。
都内のIT企業で働く30代のプロデューサーは、自身のテーマとして「澄」を選んだ。「情報が錯綜するプロジェクトの中で、いかに思考を澄ませ、本質を見極められるか。デスクの脇に置いた小さな墨書を見るたび、自分の軸へと立ち返ることができる」と語る。自己紹介の長文よりも、選んだ一文字とその理由を語る方が、その人の美学や価値観が遥かに鮮明に伝わるのだ。