カルチャーとしての歴史的価値や芸術性がどれほど語られようとも、日本の法制度において落書きの罰則は極めて厳格です。「どれだけ上手な絵であっても、無許可で他人の財産に描けば100%犯罪」という冷徹な境界線が存在します。
無許可で壁やシャッター、電車などにタギングやグラフィティを描いた場合、主に以下の法的責任を問われます。
1. 刑法第261条:器物損壊罪
他人の所有物を損壊・汚損した場合に適用され、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料が科されます。ペンキやスプレーで美観を著しく損ねる行為は、物理的な破壊を伴わなくとも「物の効用を害した」とみなされ、器物損壊が成立します。
2. 刑法第260条:建造物等損壊罪
公共の建物やビルなどの建造物に対して深刻な被害を与えたと判断された場合、器物損壊罪よりも重い5年以下の懲役(罰金刑なし)が適用されるケースもあります。
3. 各自治体の落書き防止条例および軽犯罪法
東京都渋谷区をはじめとする多くの自治体で「落書き防止条例」が制定されており、消去命令や過料が科されます。また、軽犯罪法第1条33号(他人の工作物等に張り紙をし、又はいたずらをした罪)に問われることもあります。
刑事罰にとどまらず、民事上の損害賠償請求も極めて高額です。ビルの外壁全面の特殊洗浄費用や再塗装費用、電車の車両復旧費など、数百万円から数千万円規模の損害賠償が描き手(未成年の場合は保護者)に請求される判例が相次いでいます。