インターネット上の野球コミュニティやSNSで、最も頻繁に議論が紛糾し、多くのファンが勘違いしている盲点が存在します。それが「投手自身の失策(ピッチャーゴロの悪送球など)」による得点です。
「ピッチャー本人がやらかしたミスなのだから、当然自責点になるはずだ」と思い込んでいるファンは驚くほど多く見られます。しかし、公認野球規則における答えは「自責点にはならない」です。
規則上、マウンドに立つ選手は「投球を行う投手」であると同時に、「グラウンドを守る9人の野手のうちの1人(フィールダー)」として二重の身分を持ちます。自責点とはあくまで「投球(ピッチング)としての責任」を問う指標です。投手自身の一塁悪送球で走者を出したり生還させたりした場合、それは「野手としての失策」とみなされるため、他の内野手がエラーをしたときと全く同じ扱いになります。したがって、自責点計算上は失策として除外され、失点にはなるが自責点にはならないという判定が下されます。
また、「1死一塁から外野手がフライを落球(失策)し、その後ツーランホームランを打たれた」ケースではどうでしょうか。この場合、1死からエラーがあったため「本来なら2死走者なし」だったはずの場面です。したがって、ホームランを打たれた投手に記録される自責点は、エラーで出塁した走者の1点ではなく、本塁打を打った打者自身の1点のみ(自責点1)となります。2死後のエラーなら全得点が自責点ゼロになりますが、1死からのエラーでは打者走者の分だけ自責点が残るという複雑な再構築が行われます。この精緻なパズルこそが、記録員の腕の見せ所であり、ファンの誤解が生まれやすいポイントです。