草津市追分南。駅前の喧騒から離れたこの地で、連日途切れることのない人の波を受け止めているのが「ブーランジェリー パン ドゥ マルシェ」だ。大手グルメポータルの「食べログ パン 百名店」に幾度となく選出され、関西グルメの地図を塗り替えた存在として知られる。店内は決して広くない。むしろ大人数人が入れば肩が触れ合うほどの親密なスケール感でありながら、そこに並ぶパンの密度と品数は驚異的だ。
木目調の温かみある陳列台には、ハード系の重厚なカンパーニュから、果実が溢れんばかりのデニッシュ、惣菜系まで、常時数十種類がひしめく。訪れる客は皆、トレイを片手に真剣な眼差しでパンを選び抜いていく。次々と奥の厨房から運ばれてくる焼きたての鉄板。立ち上る湯気とパチパチと表皮が弾ける音。この臨場感こそが、テイクアウト・ベーカリーの枠に収まらない劇的な食体験のプロローグとなっている。