個人の生き方に対する批判が生じる背景には、日本社会の規範意識も関係している。フェミニズム研究やジェンダー・社会学の第一人者である上野千鶴子氏らが長年指摘してきたように、「生き方の多様化」と「従来の家族モデルを前提とした制度」との間には摩擦が生じやすい。
社会問題ドキュメンタリーなどでも描かれる通り、子どもを持たない理由にはキャリアの追求、健康上の理由、経済的制約など多様な背景が存在する。それにもかかわらず、制度上の不備に対する不満が個人に向けられ、「ずるい」「勝手だ」という相互批判にすり替わってしまう現省は、社会全体に余裕が失われているサインとも言える。