2014年3月、モンゴルの首都ウランバートルで実現した密談と家族対面は、日朝拉致問題の歴史における極めて感情的かつ重要な足跡である。横田滋さんと横田早紀江さん夫妻が、孫であるキム・ウンギョン氏、そしてその幼い娘(めぐみさんのひ孫)と初めて抱き合った瞬間だった。
この対面は、北朝鮮拉致被害者家族連絡会(家族会)の運動が長年訴え続けてきた人道的な願いが結実した形となった。しかし、その背景には日朝両政府による極秘の外交交渉が存在していた。孫との面会が実現した喜びの裏で、母である横田めぐみさん本人の帰国には至っていないという冷酷な現実。早紀江さんが噛み締めた複雑な思いと、対面時に交わされた言葉の端々には、国家の思惑に翻弄される家族の苦悩がにじみ出ていた。