行政や法制の観点から見ると、文字の扱いはより厳密に区分されている。文化庁が所管する常用漢字表において、標準的な通用字体は「万」「円」と定められているが、大字としての「壱」「弐」「参」も法的効力を持つ文字として併記されている。公的な契約書や商業手形において「参萬圓」と記しても、法的な有効性は完全に担保される。
一方で、法務省が管轄する戸籍統一文字や住民基本台帳のシステム刷新に伴い、異体字の取り扱いは厳密にデジタルコード化されてきた。日本語学の専門家は、「萬」は単なる旧字ではなく、歴史的文脈と公的証拠能力を併せ持った特殊な表記単位として、現代の情報システム内でも特別にコード体系が保護されていると指摘する。文字ひとつの違いに、国税・戸籍・司法が積み重ねてきた文字規格の歴史が凝縮されている。