かつて古代吉備国の中心地として栄えたこの地は、いまや独自の食文化が花開くフロンティアだ。穏やかな気候と肥沃な高梁川の恵みを受け、新鮮な農産物が日常的に手に入る環境が、料理人たちのクリエイティビティを強く刺激している。
近年、地方創生の文脈で語られることの多いローカルの外食産業だが、総社の動きはひと味違う。行政主導の画一的な町おこしにとどまらず、民間の店主たちが互いに刺激し合い、独自のコミュニティを形成している点にある。古い商家や納屋を改装した店舗には、木の温もりと現代的なセンスが同居し、週末ともなれば県外ナンバーの車が列をなす。静かな街並みの裏側で、確かな熱量を帯びた食の潮流が生まれている。