西荻窪を語る上で、スパイスカレーの存在を避けて通ることはできない。インドやスリランカの伝統技法をベースにしながらも、日本の出汁文化や旬の和食材を融合させた「西荻流スパイスカレー」は、もはや独自のジャンルを確立したと言っていい。
平日でも開店前から行列ができる人気店では、日替わりのスパイスプレートに季節の副菜が10種類以上盛り付けられる。一口ごとに変化する香りと旨味のグラデーションは、まさに食のアートだ。マニアの間では「西荻のカレーは胃にも心にも優しい」と評されるが、それは素材の選定からスパイスの焙煎度合いに至るまで、徹底的な計算のもとに作られているからにほかならない。