経済の屋台骨が揺らぐなか、次世代を担う世代には重い閉塞感が立ち込めています。中国の若者失業率の推移を振り返ると、16〜24歳の都市部失業率は一時期20%を突破し、あまりの数値悪化を受けて国家統計局が2026年夏に一時公表を中断するという異例の事態に発展しました。学生を除外した新基準での公表再開後も高止まり傾向は解消されておらず、年間1,100万人を超える大学新卒者が過酷な買い手市場に放り出されています。
現地の大手求人サイトやSNS上で交わされるリアルな声は悲壮感に満ちています。中国版X(旧Twitter)と呼ばれる微博(ウェイボー)や小紅書(RED)では、中国デフレとネットの反応を象徴する投稿が日常茶飯事となっています。有名大学の修士課程を修了しながらも、数百社に応募して採用ゼロという若者が、フードデリバリー配達員や配車サービスの運転手として食いつなぐ事例はもはや珍しくありません。中国のネットコミュニティでは次のような自嘲の言葉が飛び交っています。
「朝から晩まで詰め込み勉強を強いられ、親の貯金をすべて注ぎ込んで手に入れた学位が、今や月給3,000元(約6万円)の事務職にすら届かない。努力が報われないのなら、最低限の生活費だけ稼いで天井を見つめて横たわる方が合理的だ」
この心理的潮流こそが、過剰な出世競争を放棄する「躺平(タンピン/寝そべり族)」の正体です。家族社会学の観点から見れば、これは過保護・過干渉な親族コミュニティが押し付ける成功モデルからの「心理的バウンダリー(自立のための境界線)」の強制的設定でもあります。期待が大きすぎた反動として、結婚や出産を敬遠し、消費そのものをミニマムに抑える生活様式が若年層の間で強固に定着しました。この意識変化は、同時に中国の少子高齢化問題を急速に悪化させており、出生数の歴史的急減と相まって、潜在成長率を構造的に押し下げる要因となっています。