フジテレビが名作『裸の大将放浪記』を約10年ぶりにリメイクするプロジェクトを立ち上げた際、最大の難関となったのが「誰が山下清を演じるのか」というキャスティングでした。初代・芦屋雁之助の印象があまりにも強烈だったため、並大抵の役者では比較に耐えられないというリスクがあったからです。
白羽の矢が立った塚地武雅は、2006年の映画『間宮兄弟』で日本アカデミー賞新人俳優賞やキネマ旬報ベスト・テン新人男優賞などを受賞。すでにお笑い芸人の枠を超えた表現力が高く評価されていました。プロデューサー陣が求めたのは、単に体型や丸刈りのビジュアルが似ていることだけではありません。山下清という人物が持つ「計算のない無垢さ」や「素朴な温かみ」を、言葉を超えた佇まいで表現できる人物として塚地武雅に熱烈なオファーが届きました。
塚地自身も当初は偉大すぎる先代の影に大きな重圧を感じていたものの、綿密な役作りと作品への敬意を胸に撮影へ挑み、見事に新時代の山下清像を作り上げました。