父が早くに歌舞伎界を離れていたため、二代目中村獅童の再出発は決して平坦ではなかった。松竹株式会社が仕切る本興行において、主役級の役が約束されているわけではない。歌舞伎座の舞台の隅から始まった役者人生は、ハングリー精神そのものだった。
転機となったのは2002年の映画『ピンポン』での怪演である。スキンヘッドの怪童・ドラゴン役で見せた獰猛なまでの存在感は映画賞を総なめにし、一躍スターダムへと駆け上がった。さらに近年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』における梶原景時役では、冷徹さと忠義を併せ持つ武将の深層を見事に体現。NetflixやAmazon Prime Videoといった世界配信プラットフォームの作品群でも、既存の枠組みに囚われないアグレッシブな表現力で国境を越えた支持を獲得している。