刑務所における1日の摂取カロリーは、被収容者の作業強度に応じて明確に区分されている。立ち仕事や肉体労働を伴う重作業なら高めに、事務作業が中心の軽作業なら控えめにコントロール。成人の標準的な作業であれば、1日あたり約2,200〜2,600キロカロリー程度に調整されている。特筆すべきは、白米ではなく精白米と大麦を7:3の割合で混ぜ合わせた「麦飯」が主食として定着している点だ。食物繊維が豊富で血糖値の急上昇を抑え、受刑者の体調維持に一役買っている。
副菜のバリエーションも意外なほど多彩だ。朝食は味噌汁に納豆、漬物、小魚といった和食中心。昼食や夕食には、カレーライス、ハンバーグ、豚の生姜焼き、魚の塩焼きなどが交互に登場する。塩分摂取量は1日7グラム前後に固く抑えられており、調味料の量までミリグラム単位で厳密に計算。外食中心の現代人の食生活と比較すると、遥かにバランスが良い。
そして、受刑者が1年で最も心待ちにするのが「正月特別メニュー」だ。元日から三日間に限り、通常とは一線を画す豪華な料理が振る舞われる。お重に詰められたおせち料理をはじめ、伊達巻、数の子、お雑煮、さらには普段決して口にできない市販の和菓子や洋菓子、みかんなどが添えられる。無機質な日常において、この3日間の味覚体験は被収容者にとって精神を支える大きな希望となっている。