織田信成さんの涙の中には、悔しさと無念さに満ちた重いものもありました。その代表例が、2019年に起きた関西大学アイススケート部監督辞任を巡る記者会見です。
織田さんは母校の監督を務める中で、指導方針の違いや内部でのハラスメント行為を受けたと主張。精神的な苦痛を理由に監督を退任し、損害賠償を求める訴訟を提起しました。会見場で唇を震わせ、大粒の涙を流しながら「生徒たちが良い環境でスケートができるようにしたかった」と訴えた姿は、社会に大きな衝撃を与えました。
その後、法廷での争いは双方の請求棄却などを経て法的な決着を迎えましたが、織田さんが見せた涙は自己保身のためではなく、次世代の選手たちに対する強い責任感と変革への願いから出たものでした。指導者としての挫折と苦悩を乗り越えたこの経験は、その後の彼のスケーター人生に新たな決意をもたらす契機となりました。