1993年、小説すばる新人賞を受賞した『天使の卵-エンジェルズ・エッグ-』。この一作が放った透明感と残酷なまでの切なさは、当時の文芸界に強い衝撃を与えた。若い読者層の心を瞬時に掴み、ベストセラー街道を突き進んだ初期の村山作品。だが、それは壮大な文学的探求のほんの序章に過ぎなかった。
ピュアな恋愛を描くストーリーテラーとしての成功。それに甘んじることなく、彼女は自らの内面にあるドロリとした感情や、人間の生々しい欲望へとしだいに目を向け始めていく。受賞という冠は、彼女にとってゴールではなく、次なる未知の表現への挑戦権に他ならなかった。