作家としての転機となったのが、文学界で高い注目を集めた『黄色いツバメ』である。早稲田大学卒業後、多種多様な職業を転々としながら執筆を続けた泥臭い努力が、ついに実を結んだ瞬間だった。リアリティ溢れる描写と独自の美意識は、当時の文学関係者を唸らせるに十分だった。
そして1980年、歴史に残る名作『蔵王絶唱』で第83回直木賞を受賞する。山形県蔵王の厳しい自然と人間の愛憎を見事に描き切り、最高峰の直木賞小説としての評価を決定づけた。文壇における地位を盤石にした瞬間であり、ここから彼の破天荒な表現活動が本格化した。