宝登山神社が授けるご利益のなかでも、全国的に際立った信仰を集めるのが「火災盗難除け」と「金運招福・諸難除け」だ。猛火を鎮めた伝説から、火を扱う料理人や住まいの安全を願う人々が「火防(ひぶせ)のお札」を求めて列を作る。さらに「宝の山に登る」という縁起の良さから、商売繁盛や新規事業の成功、金運上昇を祈願する経営者や投資家の参拝も絶えない。
参拝の恩恵を余すところなく受けるには、麓の本殿から山頂の奥宮へと巡る一連のルートが欠かせない。白木造りの優美な本殿で心を清め、欄間に施された精巧な彫刻――「二十四孝」をはじめとする極彩色の彫刻群に目を奪われた後、山頂へと向かうのが王道の巡礼法だ。
山頂の奥宮は、麓の華麗な本殿とは対照的に、素朴な佇まいの木造社殿が木立の間にひっそりと佇む。巨木に囲まれたその場所は張り詰めた霊気が漂い、訪れる者の背筋を自然と伸ばす。奥宮の授与所でしか手に入らない特別な神札やお守りもあり、これらを拝受することが参拝者の大きな目的となっている。