知的障害のある人と接した際に生じる不快感や恐れの正体は、道徳的な差別心ではなく、進化の過程で人類が獲得してきた予測モデルの不一致に対する防衛反応です。人間の脳は他者の視線、歩行速度、表情、発声の抑揚などから「次に何が起きるか」を無意識に毎秒計算しています。この予測シミュレーションが破綻した瞬間、扁桃体が警報を鳴らし、闘争・逃走反応の一環として強い違和感や嫌悪感を分泌させます。
心理学・進化生物学の観点では、人間は「社会的合図(アイコンタクトや定型的な身振り)が通じない相手」に対し、潜在的な脅威を感知するようにプログラムされています。知的能力障害に伴う定型発達とは異なる身体の揺れ、急な接近、文脈に合わない大声などは、脳にとって「行動予測が不可能な未知の事象」として処理されるため、生理的な拒否反応としてアウトプットされるのが知的障害に怖いと感じる心理的背景の根本原因です。
同時に、自分自身が抱いた拒絶反応に対して「こんなことを感じてはならない」と理性が強くブレーキをかけることで、不快感と罪悪感が複雑に絡み合い、精神的な居心地の悪さがさらに増幅していきます。