あのお座敷のコントがなぜあれほどまでに人々を惹きつけたのか。その最大の理由は、計算し尽くされた間と、即興的なアドリブのスリルにあった。志村けんが提示するフリに対して、柄本明があえてワンテンポ遅れて反応する。あるいは、意図的に沈黙を長く引き延ばし、スタジオの空気が張り詰めた瞬間に絶妙なボケを放つ。二人の間で使用されたテクニックは、笑いのロジックを知り尽くした者同士だからこそ成立する高等技術だった。
撮影現場の制作秘話によれば、事前の打ち合わせは最小限にとどめられていたという。基本的な設定と流れだけを確認し、本番での互いの表情や間合いはほぼ「ぶっつけ本番」に近い状態で行われていた。柄本が予期せぬアドリブを仕掛け、それに志村が絶妙なツッコミやリアクションで応じる。本気でお互いを笑わせようとする二人の無邪気な対峙こそが、カメラの向こう側にいる視聴者に生の笑いとなって伝わっていたのである。