ザ・ドリフターズでの活動を経て、自身のプロダクションであるイザワオフィスと共に独自のコメディ・バラエティを確立していった志村けんさん。なかでもフジテレビ系で放送された『志村けんのバカ殿様』は、世代を超えて親しまれる看板番組となった。
白塗りのメイクに豪華な衣装を身にまとい、バカ殿として暴れ回る姿の裏には、完璧なディレクションが存在した。知之さんによれば、収録現場での志村さんは共演者やスタッフへの配慮を怠らず、妥協を許さないプロフェッショナルそのものだったという。イザワオフィスのスタッフとも家族のような信頼関係を築き上げ、一編のコントを作り上げるために何時間も推敲を重ねた。テレビ画面で見せる無邪気な笑顔の影には、職人的なこだわりが満ちていた。