悪質なインフルエンサーの不正や企業の不祥事に対し、激しい攻撃が集中する理由の根底には、人間特有の「道徳的優位性(モラル・ハイグラウンド)」と「脳内報酬系」の働きが深く関係しています。
脳科学や社会心理学の知見によれば、他者のルール違反を告発し、制裁を加える行動をとる際、人間の脳内では快楽物質であるドーパミンが分泌されることが明らかになっています。いわゆる「正義感中毒(シャーデンフロイデを伴う処罰欲求)」と呼ばれる状態です。自分自身が直接被害を受けていなくても、「社会の悪を懲らしめている」という名分を得ることで、攻撃行動が快感へと変換されます。
さらに、集団心理もこの行動を後押しします。「みんなが怒っている」「許してはならない悪だ」という空気が形成されると、個人の責任感は薄まり、攻撃のハードルが一気に下がります。その結果、本来であれば客観的な事実確認が必要な問題に対しても、感情的な「鉄拳」が躊躇なく振り下ろされる構造が生まれます。