日常会話において「雪が積もる」ことと「雪が付着する」ことは混同されがちですが、防災気象および物理現象の観点において、着雪と積雪の違いは極めて明確に区別されています。
積雪とは、大気中から降下した雪が地表面や構造物の水平面上に堆積した状態を指します。一方、着雪とは、空気中を漂う雪片が電線、樹木、車体、建造物の壁面や標識などの物体に衝突し、そのまま付着して塊へと成長していく現象です。水平方向だけでなく、垂直面や細い線状の物体にまで全方位から雪がまとわりつく点が物理的な大きな違いとなります。
さらに混同されやすい概念として着氷と着雪の違いが挙げられます。気象工学の定義では、付着する物質の状態が決定的な分岐点です。着氷は、0℃以下でも凍っていない過冷却の雨(雨氷)や濃霧(霧氷)が、物体にぶつかった瞬間に急速凍結して氷の膜を作る現象を指します。対して着雪は、最初から「雪」として降ってきた粒子の中に適度な水分が含まれており、雪同士や物体との間に働く表面張力と再凍結によって付着・肥大化します。
この比較からも分かる通り、着雪の特異性は「0℃前後のわずかな温度変化」と「適度な水分」が揃った瞬間に、短時間で物体の質量と受風面積を爆発的に増大させる点にあります。さらさらとしたパウダースノーでは跳ね返ってしまう構造物に対し、水分をまとった雪はまるで強力な接着剤のようにへばりついていくのです。