土俵外における親方の存在感もまた、日本相撲協会内で際立っている。審判部長や理事などの要職を歴任してきたキャリアの中で貫かれてきたのは、妥協なきリアリズムと組織運営に対する厳格な姿勢だ。
協会の改革議論において、情や慣例に流されることはない。不祥事防止への危機管理意識、外部ガバナンスへの対応、巡業や興行形態の近代化など、提起される課題に対して常に論理的で冷徹な視点を提示してきた。その歯に衣着せぬ発言力は、時に角界中枢に波紋を呼ぶ。しかし、誰もその見識を無視することはできない。
土俵の品格を守ることと、組織を健全に存続させること。その両輪を回すために必要なのは、曖昧な妥協ではなく痛みを伴う決断であるという哲学。元横綱・旭富士が放つ重厚なプレッシャーは、協会の将来を左右する人事や政策決定の場において、今なお決定的な影響力を持ち続けている。