爪に異常を感じた際、どの診療科に行くべきか迷う方も多いですが、正解は一貫して「皮膚科(可能であれば日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医)」です。
皮膚科の診察では、特殊な拡大鏡を用いたダーモスコピー検査が実施されます。この検査は、皮膚の表面に光を反射させない特殊なジェルや偏光フィルターを用い、病変を10〜20倍に拡大してメラニン色素の微細な分布パターンを観察する非侵襲的(痛みを伴わない)な検査法です。保険診療が適用され、検査時間も数分程度で終了します。
ダーモスコピーで見られる所見は、良性と悪性で明確に分かれます。
- 良性パターン(規則的):規則正しい間隔で並ぶ細い平行線、均一な色調のストライプ。
- 悪性パターン(不規則):線の太さや間隔がバラバラ、途切れや蛇行、色の濃淡差が激しい線条、小爪皮への色素沈着。
ダーモスコピー検査で悪性が疑われた場合に限り、爪の一部を採取する生検(組織検査)や総合病院・大学病院の皮膚腫瘍科への紹介が行われます。
【プロの結論】皮膚科を受診すべき人・様子見でよい人の判断基準
客観的な医療データと臨床現場の知見に基づき、読者が取るべき行動基準を以下のように提示します。
【即座に受診すべき人の条件】
- 20歳以降に新しく一本の指(特に親指や足の指)に黒褐色の線が現れた。
- 線の幅が3mm以上あり、徐々に太くなっている。あるいは最初から6mm以上ある。
- 一本の線の中に濃い黒と薄い茶色が混在し、境界が不鮮明である。
- 爪の根元や横の皮膚にも黒い色がにじみ出ている(ハッチンソン徴候)。
- 爪に縦割れが生じたり、爪が持ち上がって変形している。
【写真を撮って1〜2ヶ月様子見できる人の条件】
- ドアに指を挟んだ、激しい運動をしたなど明確な外傷の記憶がある。
- 爪の根元からではなく、途中から黒い点や斑点が生じている。
- 爪が伸びるにつれて黒い部分が先端側へと移動している。
- 10歳未満の子供で、極端な幅の拡大や皮膚への広がりが見られない。