変化はこの店の中だけに留まらない。激増した来客の波は、隣接する八百屋や老舗の和菓子店、さらには周辺のカフェにも波及している。店主の加藤さんは、自店で導入したデータ分析システムで得られた「来客予測」や「売れ筋の傾向」を、近隣の店主たちとオープンに共有し始めた。
「うちだけが得をしても商店街全体の未来はない」という考えのもと、商店街全体で統一されたポイントシステムや回遊イベントを次々と展開。かつて人通りが途絶えかけていたアーケード街に、新たな起業家が若者向けの雑貨店やコーヒースタンドをオープンさせる動きまで生まれている。一軒の老舗が点した灯火が、面としての賑わいを再構築した格好だ。