個室が細分化され、家族それぞれのプライベートが完全に確保された現代のマンション。それとは対照的に、磯野家の間取りは障子や襖(ふすま)で仕切られているだけです。声や気配が筒抜けになるこの構造は、一見するとプライバシーの侵害に見えます。
ところが、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視し、常にスマホで誰かと繋がっていたい一方で、孤独感を抱えやすいZ世代やミレニアル世代の若者たちの間で、この「緩やかな繋がり」が新鮮に映っています。あえて完全に遮断しない壁が、家族の気配を感じる安心感を生み出しているのです。