この劇的な変化は、偶然の産物ではない。制度的な後押しとして極めて重要な役割を果たしたのが、国土交通省による柔軟な規制緩和と、地元主導で立ち上がった都市再生推進法人の存在だ。旧来の用途地域制限や建築基準法の壁を一つずつクリアし、卸売専用の倉庫を用途変更して店舗やオフィスへと転用できる枠組みが整えられた。
スクラップ・アンド・ビルドを前提とした従来の都市再開発事業とは異なり、ここで行われたのは徹底した「リノベーションまちづくり」である。建物の歴史的価値を資産として捉え直し、最小限の手入れで最大の魅力を引き出す。行政と民間が同じ未来像を共有したからこそ、スピード感を持ったエリアリノベーションが実現した。
単独のビル開発にとどまらず、通り全体の景観ガイドラインや歩行者空間の整備を一元的にコントロールする推進法人のマネジメント力は、全国の自治体が視察に訪れるほどのモデルケースとして評価されている。官民連携の理想的な歯車が、この場所で力強く噛み合っている。