大学相撲の名門・日大で腕を磨いた彼は、大きな期待を背負って大相撲の世界へと飛び込んだ。だが、プロの土俵は甘くない。関取昇進を果たしてからも、幕内と十両を行き来する苦しい歳月が長く続いた。
膝の激痛に耐え、思うように体が動かない日々の中でも、彼は弱音を吐かなかった。支度部屋で見せる大らかな人柄と、記者陣をクスッと笑わせる軽妙な語り口。殺伐とした勝負の世界にあって、彼の周りには常にどこか温かい空気が漂っていた。
単なる一力士にとどまらない。彼が呼び出しに呼ばれて土俵に上がるだけで、館内にはひときわ大きい歓声が響き渡った。ファンは彼の粘り強い相撲に自らの人生を重ね合わせ、背中を押し続けたのだ。