昭和から平成初期にかけて、コスメ界に強烈なインパクトを与えたのが色が変わるリップ(マジックリップ)です。リップ本体は鮮やかなグリーンやブルー、オレンジなどの原色なのに、唇に塗ると体温や水分量、pHに反応して鮮やかなピンクや赤に変化するギミックは、当時の少女や大人の女性たちを大いにワクワクさせました。
この分野で先駆者となったのが、伊勢半が手掛けたキスミー(KissMe)の昔のリップシリーズです。昭和40年代から登場した特殊処方のリップは、「落ちにくい」「自分だけの色に染まる」という機能性とエンタメ性で爆発的なヒットを記録しました。
母親の鏡台に置いてあった緑色のリップをこっそり塗って唇が真っ赤になり、慌ててティッシュで拭ったというエピソードは、世代を超えて共有される定番のノスタルジー体験となっています。この「pHで色が変わる処方」は、現在のティントリップやリップオイルの基盤技術としても脈々と受け継がれています。