結論から申し上げますと、障害者手帳のカバー色から障害の「等級(1級〜6級など)」を特定することは原則として不可能です。ネット掲示板や知恵袋などで散見される「赤い手帳は1級の重度」「青い手帳は軽度」といった言説は、客観的根拠のない誤った情報に過ぎません。
厚生労働省が所管する障害福祉関係の法令や通達を精査しても、手帳カバーの色彩を指定する条文は一切存在しません。根拠法となる「身体障害者福祉法」や「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」で規定されているのは、手帳に記載すべき必須事項(氏名、生年月日、障害名、等級、旅客運賃減額区分など)や標準的な寸法にとどまります。カバーの材質や色に関しては、手帳の交付主体である都道府県知事、政令指定都市市長、中核市市長の行政裁量に完全に委ねられているのが実情です。
行政実務の観点から見ても、等級ごとにカバーの色を分ける運用は極めて非効率的です。障害認定は症状の固定や加齢、病状の悪化・改善によって再認定(再判定)が行われ、等級が変動することがあります。もし等級別にカバー色を変えていれば、等級変更のたびにカバー全体を刷り直して差し替えなければならず、行政コストと受給者側の手続き負担が無用に膨らんでしまいます。そのため、ほぼすべての自治体において、色は「手帳の種別」を区別するために使われているにすぎません。