沢口靖子さんの人気を決定づけ、お茶の間のアイドルから真の国民的女優へと昇華させたのが、1985年度前期に放送されたNHK連続テレビ小説第34作『澪つくし』(脚本:ジェームス三木)です。
千葉県銚子市を舞台に、醤油醸造元の旧家に生まれたヒロイン・古川かをるが、網主の息子・吉武惣吉(川野太郎)と身分違いの恋に落ちる波乱万丈の純愛ストーリー。沢口さんが見せた、清楚でありながら情熱を内に秘めた演技と、息をのむような和装姿は日本中を熱狂させました。
当時の視聴率は凄まじく、最高視聴率55.3%、期間平均視聴率44.3%(ともに関東地区・ビデオリサーチ調べ)という金字塔を打ち立てました。朝ドラ歴代でも上位にランクインするこの驚異的な数字は、沢口さんの圧倒的なヒロイン力なしには達成できなかったと言われています。
その後も、1986年のドラマ『痛快!OL通り』(TBS系)でコメディエンヌとしての新境地を開拓し、TBS大型時代劇スペシャルや『金田一耕助シリーズ』、大河ドラマ『太平記』(1991年・赤橋登子役)など、昔のドラマや名作劇場で次々と主演・ヒロインを担当。凛とした気品と清純さを併せ持つ唯一無二の存在として、昭和から平成のドラマ黄金期を牽引していきました。