市場の喧騒を抜けた路地裏に佇む隠れ家カフェや、昭和の香りを色濃く残す純喫茶に地元客だけでなく遠方からも人が引きも切らないのは一体なぜなのか。その理由を紐解く鍵は、「空間の物語性」と「職人気質のメニューづくり」にありました。
長年地元で愛される喫茶店では、使い込まれた飴色のネルフィルターで一杯ずつ丁寧に抽出される深煎りブレンドが、訪れる人々の日常に寄り添います。一方、SNSを中心に若い世代から熱い視線を集めているリノベーション系の古民家カフェでは、梁や柱を剥き出しにした無骨な空間演出と、季節のフルーツを贅沢に使ったパフェや固めプリンといった手作りスイーツが見事な調和を見せています。
路地裏の古民家カフェで長年腕を振るう店主は、取材に対して次のように語ってくれました。
「火災や工事で市場の風景が変わっても、旦過に流れる人間味や温かさまで失われたわけではありません。建物が新しくなっても、路地裏に漂うちょっとした安心感や落ち着きを求めて、若い方からご年配の方までドアを開けてくださいます」
チェーン店にはない「人の温もりと空間の質感」が、訪れる者の心を捉えて離さない決定的な理由となっています。