作家の橘玲氏は、現代社会が知識社会化とリベラル化を進めた結果、個人の能力や魅力によって過酷な分断が生じる「残酷な世界」に変貌したと予言的に指摘してきた。自己決定と自己責任が強調される社会においては、成果を出せない者やコミュニケーション能力に乏しい者が取り残され、容赦ない生きづらさ・社会的孤立に直面する。
知能やコミュニケーション能力という不可視の格差が人生の成否を分ける時代において、何の資源も持たない弱者は敗者としての烙印を押される。橘氏の論考が示す通り、評価軸が一元化された社会では、敗者の尊厳を保つ場所すらす念念と奪われていくのだ。