伝説の幕開けは1989年、深夜の音楽オーディション番組『三宅裕司のいかすバンド天国』(通称:イカ天)への出演でした。おかっぱ頭に丸メガネの知久寿焼、ランニングシャツ姿でパーカッション(ごみ箱や鍋ぶた)を叩く石川浩司、端正な顔立ちで黙々とベースを弾く滝本晃司、そしてアコーディオンとピアノを自在に操る柳原陽一郎(当時は柳原幼一郎)。そのあまりにも異質で完成されたアンサンブルは、審査員と視聴者に衝撃を与え、第3代グランドイカ天キングの座に輝きました。
1990年5月にリリースされたメジャーデビューシングル「さよなら人類 / かんなぎ」はオリコン初登場1位を記録し、売上100万枚を超えるミリオンセラーを達成。「今日 人類がはじめて 木星についたよ」「ついたー!」というフレーズは流行語となり、同年の『NHK紅白歌合戦』出場を果たすなど、日本中を巻き込む社会現象となりました。
たまの音楽は「コミックバンド」と誤解されがちですが、その実態は全員が作詞・作曲・ボーカルを担当できる極めて高度な音楽家集団でした。フォーク、プログレ、トラッド、現代音楽の要素を巧みにブレンドしたたまの代表曲一覧には、今なお色褪せない名曲が並びます。
【たまの主な代表曲】
・「さよなら人類」(1990年・デビュー曲にしてミリオンヒット)
・「らんちう」(知久寿焼の代名詞的ナンバー。不条理で文学的な世界観)
・「オゾンのダンス」(柳原陽一郎作。疾走感あふれるアコースティックポップ)
・「夕暮れ時のさびしさに」(滝本晃司作。叙情詩のような美しいメロディ)
・「まちあわせ」(石川浩司作。独特のテンポと語り口が癖になる名曲)