2010年代以降のアクション映画の文脈は、本作の登場によって劇的なパラダイムシフトを経験した。柔道やブラジリアン柔術の関節技・投げ技に近接射撃を組み合わせた格闘スタイル「ガン・フー」は、それまでのハリウッド映画が多用していた小刻みなカット割りを一掃。長回しと引きのカメラワークによって、俳優の実演による生々しい躍動感をそのままフィルムに焼き付けた。
映像美の面でも、本作はネオ・ノワールとしての確固たる地位を築いている。雨に濡れたアスファルトに反射する極彩色のネオンライト、荘厳なクラシック建築と前衛的なモダンアートの対比。血生臭い殺戮劇でありながら、どこか耽美で詩的なムードを醸し出す独特のビジュアルスタイルは、後続の映像クリエイターたちに計り知れない影響を与え続けている。