キャリアの絶頂期を経験したのち、彼女は人生の大きな舵を切る。結婚、出産を経て選んだのは、故郷である熊本県での生活だった。便利で刺激的な東京を離れ、自然の循環とともに生きる暮らし。薪で火を焚き、自給自足的な営みを大切にするそのライフスタイルは、当時としては先駆的な決断だった。
だが、その歩みは決して平坦ではなかった。2016年の熊本地震では自宅が全壊するという過酷な試練に見舞われる。避難生活やテント暮らしを余儀なくされながらも、彼女は現実から逃げることなく、子育てと生活の再建に奔走した。過酷な体験は、命の重みと日常の尊さを彼女自身の心により深く刻み込むこととなった。