父・敏文氏の威光がどれほど凄まじくとも、康弘氏が最初に選んだ道は流通の現場ではなかった。武蔵工業大学(現・東京都市大学)を卒業後、彼が足を踏み入れたのはITインフラの巨人・富士通株式会社である。名門企業のエンジニアとして、システム構築の泥臭い基礎を叩き込まれた。
あえて親の威光が及ばないIT業界に身を置き、最先端の技術とビジネスの交差点を肌で学んだ経験。これこそが、後に彼が展開するデジタル戦略の揺るぎない背骨となった。自立した一人の技術者として社会人のスタートを切った姿勢に、安易な親光に頼らない孤高の気概が滲む。