店舗の成功に留まらず、川原氏の名を日本全国へ決定づけたのがテレビメディアの存在だ。2000年代初頭、日本テレビ放送網で深夜に放送され社会現象を巻き起こしたリアリティ番組『マネーの虎』である。
起業家志望者がプレゼンを行い、百戦錬磨の社長陣が自腹で出資するか否かをジャッジするこの番組で、川原氏はひときわ鋭い舌鋒と人間味あふれる情熱で視聴者を釘付けにした。「お前なぁ、世の中そんなに甘くないんだよ!」「ラーメン屋を舐めるな!」——感情をむき出しにした激しい怒号と、真剣に夢を追う若者への温かい眼差し。そのコントラストが全国のお茶の間を魅了した。
数々のグルメバラエティ番組にも引っ張りだことなり、スープに浮かべても溶けない「プリントのり」などの特許技術を開発するなど、川原氏は単なるラーメン職人の枠を超え、時代の寵児としてメディアジャックを成し遂げたのである。