彼のアヴァンギャルドな魅力が最も純粋な形で爆発したのが、1970年代から80年代にかけての作品群だ。独立系映画の実験場として日本映画史に燦然と輝くATG(アート・シアター・ギルド)の作品群において、彼はまさに象徴的なアイコンとなった。商業主義の枠組みを飛び出し、表現の極限に挑む監督たちの熱量と、彼の野性味あふれる演技が見事にシンクロしたのだ。
中でも鬼才・鈴木清順監督とタッグを組んだ『ツィゴイネルワイゼン』は、日本映画界の金字塔として今も語り草になっている。夢と現(うつつ)、生と死が曖昧に交錯する迷宮のような世界観の中で、怪しい魅力を放つ主人公を熱演。キネマ旬報ベスト・テンで1位を獲得するなど空前の評価を得た。一方で、老舗メジャーである松竹の制作映画においても独自の異彩を放ち、メジャーとインディペンデントの垣根を軽々と越えてみせた。邦画の可能性を大きく切り拓いた功績は計り知れない。