1980年代半ば、圧倒的な存在感で茶の間を席巻したのが、大映テレビとフジテレビのタッグが生み出した金字塔『ヤヌスの鏡』だ。厳格な祖母のしつけによって抑圧された大人しい女子高生・小沢裕美が、ガラスが割れる音を合図に凶暴な不良少女・大沼ユミへと変貌を遂げる二重人格の物語。主演を務めた新人女優・杉浦幸の圧倒的な演技力と衝撃的な変貌ぶりは、当時の視聴者に凄まじいインパルスを与えた。
そして作品のドラマ性を決定づけたのが、椎名恵が歌う主題歌「今夜はANGEL」だ。洋楽の力強いメロディに日本語の情熱的な歌詞が乗った劇中歌は、主人公の心の叫びと見事にシンクロし、チャートを駆け上がった。サスペンスドラマの枠を超えた切なさと疾走感は、放送から40年近くが経過した現在でも色あせることがない。