恋愛少女漫画において、髪についた付着物を取る描写自体は古典的なモテ仕草の一つとされる。通常であれば「桜の花びら」や「落ち葉」、あるいは「パンくず」などが定番だ。しかし、杉しっぽがあえて選んだのは、硬くて油分の漂う和菓子「芋けんぴ」だった。
この前代未聞のチョイスが、既存の少女漫画の文脈を心地よく破壊した。伝統的な胸キュン展開と狂気的なシュールさのギャップ。それこそが出版業界に激震を走らせ、多くの後続作品やクリエイターたちに多大な影響を与えた要素だ。美麗な作画で淡々と描かれる怪奇とも言える胸キュンシーンは、瞬く間に口コミで広がっていった。