バブル経済の熱狂と余韻、そして社会の過渡期にあたるこの時代、日本のエンタメ界は空前の百花繚乱を迎えていた。それまでのスタイリッシュでおしゃれな都会生活を描くトレンディドラマの枠組みは徐々に姿を変え、登場人物の葛藤や痛みを泥臭く掘り下げる重厚な恋愛ドラマへと進化を果たす。この構造変化こそが、1990年代ドラマを単なる一時の流行で終わらせず、ポップカルチャーの金字塔へと押し上げた最大の要因だ。
当時の試みは挑戦の連続だった。記号化されたおしゃれな演出をそぎ落とし、剥き出しの人間性を衝突させる演出技法が次々と誕生。視聴者は毎週決まった時間にテレビの前に座り、登場人物の選択に自らの人生を重ね合わせたのである。